環境ニュース 人口に関する概念
今月の NIEHS ニュース(p. A550) では、チャペルヒルに るノースカロライナ大学の Center for Environmental Health and Susceptibility(環境衛生と感受性センター)での研究を取り扱っている。同センターの科学者たちは、化学物質の毒性を増大させる基本的プロセスを、特に遺伝的に感受性の高い人たちについて研究している。
窒素周期:変化する世界
食料生産量の増加を求め、また燃焼エンジンの使用も増加しているため、人類は窒素を過度に使用し、その結果、地球の窒素周期は他のどの元素の周期よりも大きく変化してしる。Focus (p. A556) では、この変化が人類と生態の健康に及ぼす良い影響と悪い影響について検証している。
回路基盤のための羽毛
Innovations (p. A564) では、鶏肉産業で排出される不要の羽毛を使用する新改良の回路基盤に関する研究について記述している。羽毛中の繊維角質は軽く、機械と熱のストレスに十分耐え得るほど強靭で、密度が非常に低いため、重量を犠牲にすることなく強靭さが得られる。その結果、将来コンピュータの回路基盤に使用される可能性を秘めており、「hunt and peck」という言葉にまったく新しい意味を持たせることになるかもしれない。
研究 有病率研究における効果測定
有病率研究のための適切な方法に関する議論の中で最近の論文では、有病率比が好まれている方法で り、有病オッズ比は使用されるべきではないと論じられていた。Pearce (p. 1047) は、これらの方法の違いについて考察し、有病オッズ比は今後も有病率分析と有病率ケースコントロール研究の標準的方法の1つで り続けると論じている。
学校等の建物でのPCB汚染
ボストンとその近郊を含めた地域の24の建物に関する調査で、1/3の建物に、米国環境保護庁の基準で大量生産廃棄物と見なされる重量50ppmを超えるポリ塩化ビフェニル(PCB)を含むコーキング資材が使用されていることが判明した。現行の法律では、コーキング等の資材中のPCB含有量を検査することは義務付けられていない。Herrickら(p. 1051) は、この検査を行えば、資材に大量のPCBを含む建物が多く発見でき、周囲にPCBが存在する建物も判別できる可能性が ると提唱している。
アトラジンを媒介とした幼生両生類の生存
両生類は、生殖地の農業廃水を通して汚染物質の曝露を受けている場合が る。Storr及びKiesecker (p. 1054) は、ジョウジアマガエル(Pseudacris crucifer)、アメリカヒキガエル(Bufo americanus)、アオガエル (Rana clamitans)、wood frog(Rana sylvatica)の4種のオタマジャクシノ発達過程の初期と後期に3、30および100ppbの市販アトラジンに曝露させた。生存率は、B. americanus と R. sylvaticaを除いた、すべての種で3ppbに曝露したカエルの生存率が30ppb るいは100ppbに曝露したカエルよりも低かった。
フラーレンが引き起こすオオクチバスの酸化障害
ナノテクノロジーは大きな可能性を秘めているが、ナノマテリアルは不用意に環境中に放出されると野生生物に影響を与える場合が る。製造されるナノ粒子の1つで るフラーレンは、水中浮遊コロイド(nC60)を形成する可能性が る。これらのコロイドは脂肪親和性で り、体外の細胞膜等の脂質が豊富な部分に集中し、レドックス活性を持っている。Oberdöster (p. 1058) は、オオクチバスを0.5 ppmのコーティングを施していないnC60に48時間曝露した後、その脳に重大な脂質酸化が見られたことを報告している。 ( p. A568のScience Selections も参照)
サブミクロメータの粒子と心拍変動
Chanら(p. 1063) は、肺機能障害を持つ若者と年配の患者を研究し、サブミクロメータの粒子による空気汚染が心拍変動(HRV)に関連しているか否かを評価した。日中、継続的に患者の心電図を取り、サイズが0.02〜1 µm(NC0.02〜1)の間に るサブミクロメータの濃縮粒子に個別に曝露した。両方のグループで、NC0.02-1への曝露は時間変域HRVと頻度変域HRVの両方の減少に関連していた。
胃腸効果と銅の曝露
Arayaら(p. 1068) は、無作為化した二重盲検の地域ベースの研究で、2ヶ月間にわたって飲料水1リットルにつき< 0.01 (コントロール)、2、4、6 mgの銅を混入して曝露させ、胃腸効果を査定した。症状の危険性は銅量の増加とともに増大し、時間の経過とともに減少した。飲料水に混入した銅への曝露は胃腸に症状を引き起こしたが、これには銅の濃度、時間、性別による変化が見られた。 ( p. A568のScience Selections も参照)
ウミガメの健康と汚染物質
持続性の有機塩素系殺虫剤(OC)中の汚染物質は、野生生物に対して広い範囲で毒性を持っている。Kellerら(p. 1074) は、ウミガメ(Caretta caretta)の健康に対するOC効果について調査した。致死量以下の脂肪生検材料と血液サンプルを生きているウミガメから採取してOC汚染物質の分析を行い、その濃度を血液学、血漿化学、体の状態を含む臨床データと比較した。ウミガメが蓄積するOC濃度は他の野生生物よりも低いにも関らず、幾つかの正比例関係が見られたことにより、汚染物質がウミガメの健康に影響を与えていることが判明した。
血漿DDEと免疫学的措置
齧歯動物の研究によりDDTの経口摂取による曝露の免疫抑制効果は判明したが、ヒトに関するデータは限定されている。Cooperら (p. 1080) は、
農民の中でも比較的曝露を多く受けている人たちの血液サンプルを使用して、有機塩素系殺虫剤の分解成分1、1-dichloro-2、2、ビス(p-chlorophenyl)エチレン(p、p´-DDE)と免疫学的方法の間の関係を検証した。p、p´-DDEのレベルが高まるにつれて IgG レベルは低下し、坑核抗体はp、p´-DDE曝露の最高のカテゴリでいくらか上昇した。これらの分析により、p、p´-DDEはヒトの体内での免疫反応に影響を与えることが証明された。
2001年〜2003年英国の母乳中の汚染物質
ポリ臭化ビフェニルエーテル(PBDE)の同族体の持続性、生物蓄積、毒性に関して懸念が高まっている。Kalantziら(p. 1085) は、2001年上半期〜2003年下半期に英国の南東部と北西部の母親から母乳サンプルを採取した。PBDEの同族体、ポリ塩化ビフェニルの同族体、その他の選ばれた塩素化合物の検査結果によると、2つのグループの化学成分が大きく違っていることが判明した。その違いの理由は不明で るが、汚染物質曝露の主経路とその生物学的効果の特定は重要な意味を持っている。
土地の利用方法の変更と感染性疾患の出現
人為によって土地の利用方法を変えると、感染性の疾患が出現し、地域に特有の感染症の感染状況に変化をきたす。Patzら(p. 1092) は、現段階で得られた知識を査定し、環境健康を阻害する問題に対処するための提案を作成するために開催した作業部会の研究内容を報告した。同作業部会は、情報を地域社会に伝達し、学問の分野を超えた調査を促進し、伝達内容と方針の作成に従事するための研究トレーニングセンターの設立を提言している。
環境医療
職業以外で曝露を受けた人たちのカドミウム毒性
カドミウム(cd)は、経口摂取や喫煙によって吸入される腎臓蓄積性の有毒物質で る。Satarug及びMoore (p. 1099) は、栄養不足の兆候のない職業以外で暴露を受けた人たちのCdに関連した腎臓機能障害と骨中の無機質濃度低下の関係を示す証拠を提示している。Cdに関連した骨と腎臓への毒性は、Cdの経口摂取量が、食糧農業機関と世界保健機関による合同食品添加物専門委員会が規定している1週間の暫定摂取許容量内に る人たちに見られた。
栄養と砒素による皮膚障害
栄養失調によって身体に受ける砒素の悪影響が増大するという疑いが る。Mitraら.(p. 1104) は、インドのウエストベンガルで砒素によってもたらされているヒトの皮膚障害の危険性が微量栄養素と多量要素の経口摂取により変化するか否かを調査した。その結果、カルシウム、動物性たんぱく質、葉酸、繊維の摂取量が低いと砒素による皮膚障害の発症率が高まる場合が ることが分かった。しかし、これらの経口摂取に関連している危険性の増大は小規模で るため、予防手段としては砒素への曝露の低下に焦点を当てるべきで る。
子供の健康 メキシコシティーの子供の血液中鉛の傾向
Schnaasら(p. 1110) は、1987年〜1992年にメキシコシティーで生まれた子供たちの血液中の鉛レベル(BLL)の一時的な傾向を評価した。10年間にわたりBLLを6ヶ月に1度ずつ測定した。 メキシコバレーの空気中の平均鉛量は、1987年の2.80 µg/m3から2002年には0.07 µg/m3 まで減少した。生誕年別に見ると、空気中の鉛が血液中に鉛に大きな影響を与えたのは1987年生まれの被験者で、1992年に生まれた子供たちでは殆どゼロ近くまで減少した。 (Science Selections、p. A569も参照)
胎児期のOP農薬への曝露と胎児の成長
農薬の使用は広範に行われているが、胎内曝露の健康への悪影響については まり知られていない。Eskenaziら(p. 1116) は、ラテン系の低所得層の女性を対象として、妊娠中の有機燐化合物系(OP)農薬への曝露、胎児の成長、妊娠期間の関係を調査した。胎児の成長と胎内でのOP曝露の間には悪い関係は見られなかった。しかし、短い妊娠期間と妊娠後期の曝露レベルの増加には明らかな関連が見られた。
胎児の殺虫剤曝露と生誕時体重及び身長
Whyattら(p. 1125) は、臍帯の血漿のchlorpyrifosと誕生時の体重および身長に関する前回の分析を拡大し、ダイアジノンとカルバミン塩酸プロポクスールを分析に含めた。臍帯の血漿のchlorpyrifosは生誕時の身長と反比例していた。臍帯の原形質のchlorpyrifosとダイアジノンを合わせた時(相対的有効性を考慮して調整)も誕生時の体重及び身長と反比例していた。その結果、胎児のchlorpyrifosへの曝露が成長に障害をきたした胎児の数は過半数未満で り、ダイアジノンへの曝露もその効果を増長していた可能性が ると判明した。
バイオマーカーが胎児の感受性を表示
多環芳香族炭化水素(PAH)は多くの燃焼源と関連している。Pereraら(p. 1133) は、発がん性DNAアダクト(発がんの危険性の高まりと関連しているバイオマーカー)とコチニン(タバコ煙曝露のバイオマーカー)を使用して、母親と新生児の血液サンプルを一組にしてPAHと環境タバコ煙(ETS)による胎児と成人の罹病性を比較した。その結果、DNA障害に対する胎児の罹病性の上昇と、明白なETS成分に対する能力低下が判明した。この研究結果は、人々の中でも感受性の高い子供たちを守る必要性を支持するもので る。
[目次]
前回更新日:2004年6月16日
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