環境ニュース
NIEHSニュース | 結び付く研究
化学物質の不耐性と常習癖は、表面上ではまったく異なる状態のように見えるが、最近提示された証拠によってこの2つが同じ病因に根ざしている可能性が出てきた。この記事(p. A812)は、これらの2つの症状の対処における共通性と協力可能性の追求の門戸を研究者に開いたNIEHSとNational Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism(米国立アルコール依存研究所)開催の学会について記述している。
FOCUS | 炎症の考察
炎症の目的は保護に るが、しかし、感染に対応する自然の自己防衛作用は、ときには命を危険に晒したり、命を奪ったりもする。数多くの証拠によって、遺伝子要因が人の炎症反応に影響を与えていると考えることができる。この記事(p. A816)は、役立つが危険も伴うこの身体反応に関する考察を提供する目的で、緊急時医療や危機医療を中心とした遺伝子ベースの論理の一部を検証している。
FOCUS | 視力の環境攻撃
世界で多くの人々が盲目と低視力を患っているが、特に貧しい発展途上国の人々がその影響を受けている。視力障害には複数の原因が るが、ほとんどのケースが適正な環境セーフティーとヘルスケア対策が整っていれば予防できると思われる。この記事(p. A822)では、視力に影響を与える可能性を持つ環境要因と遺伝子要因の一部について考察し、もっとも高リスクの人々の健全な視力維持を目的に発足した調査と組織的努力について説明している。
SPHERES OF INFLUENCE | 化学物質の信頼性
化学物質曝露を健康リスクと結びつける研究が増えている中、化学物質の製造と使用のモニターがこれまで以上に重要となってきた。有害物質規制法(TSCA) は、業務用と個人用の化学薬品使用に関する抑制と均衡のシステムを提供する主な政府規制で る。この記事(p. A828)は、米国環境保護局によるTSCA実施の実態を分析し、変更や改善提案を提供する米政府説明責任局が発行した最近のレポートについて説明している。
INNOVATIONS | 次世代酸塩エステル
再生可能リソースから安全・廉価に化学物質が生成できるならば、それは喜ばしいことだ。その化学物質に様々な用途で使用できる多様性を加えれば、グリーンケミストリーの次に素晴らしいレシピを手に入れたといえよう。この魔法の物質とは何か?一部の研究者は、酸塩エステルがそれだと考えている。酸塩エステルは、現在のところ石油化学製品から高額プロセスを通じて生成され多用途に使用されている化学物質で る。この記事(p. A832)は、再生可能な材料から生成することにより、酸塩エステルを廉価で環境にやさしくする新手法を考察している。
論評
倫理 | タバコ産業と農薬規制
タバコ農業は農薬に大きく依存している。農薬は人間の安全と健康問題に関連しているため、国単位でも国際的にも規制されている。しかし、タバコ会社による農薬規制への対応については まり知られていない。McDanielら(p. 1659)は、タバコ産業の内部資料を分析し、メトプレン、ethylene bisdithiocarbamates、ホスフィンに関する農薬規制に影響を与えることを目的とした業界の活動について記述している。調査結果から、タバコ産業はこれまで農薬規制プロ選択運動に影響力を行使することに成功していること、また、このプロセスをより詳しく精査することが公の利益を守る一助となることが判明した。
ヒトの毒物学 | ヒトのダイオキシン曝露を再考する
疫学研究では、2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ダイオキシン (TCDD)曝露評価は、固定消去率をベースとしている。Emondら(p. 1666)は、ヒトのTCDD曝露の薬物動態論を論じるために、齧歯動物で特定された身体負荷依存型消去率を使用して生理学ベースの薬物動態論モデル(PBPK)を適用した。このモデルから、従来の曝露評価がピーク血液濃度を有意に過小評価し、曝露の分類ミスを招いたと考えられる。このPBPモデルを使用すると、TCDDの疫学研究における曝露査定が改善できる可能性が る。
レビュー
曝露の評価 | 鉛曝露モニタリングのバイオマーカー
ヒトの鉛曝露の主要バイオマーカーは、全血中のPb濃度(BPb)で る。最近の研究では、<10 µg/dLのBPbレベルで、小さな子供の知能障害を含めた副作用の可能性が報告されており、安全な曝露レベルはないと示唆されている。Barbosaら(p. 1669)は、Pb曝露バイオマーカーの限界と、その測定確度の改善の必要性について記述している。BPbデータの解釈では、Pb曝露が外因性で るか内因性で るか、過去のことで るか最近のことで るか、また毛髪、爪、唾液、骨、血液(血漿、全血)、尿、便、剥脱した歯を含むヒトのサンプル中で濃度を断定する重要性を考慮する必要が る。
研究
環境毒物学 | 環境毒物とチョウザメの生殖
Feistら(p. 1675)は、コロンビア川(オレゴン)の白チョウザメを研究し、生殖内分泌かく乱の兆候を探した。サンプルは川の流れが自然な水域(生殖率が通常どおりの地域)と水力発電用ダムの後ろに る3つの貯水池(生殖率が低い地域)で捕獲した。最も古いダムの後ろに る貯水池で捕獲したサンプルが、汚染物質の量と生殖異常発生率が最も多く、トリグリセリド、条件要因、生殖腺のサイズ、血漿アンドロゲンが最も低かった。このデータから、内分泌かく乱化学物質が長い時間をかけてダムの後ろに蓄積している可能性が疑われる。
ヒトの毒物学 | バングラデッシュの葉酸、ホモシステイン、砒素
砒素毒性への感受性は栄養と関連している可能性が る。砒素は、葉酸依存型の1炭素単位代謝を通じてメチル化し、モノメチル砒素(MMA)とジメチル砒素(DMA)に変化する。Gambleら(p. 1683)は、バングラデッシュの成人について葉酸、コバラミン、ホモシステイン、砒素代謝の関係を調査した。尿中DMAは血漿葉酸と正の関係が り、ホモシステイン(tHcys)とは負の関係が った。MMAは葉酸と負の関係が り、tHcysとは正の関係が った。無機砒素濃度は葉酸と負の関係が った。これらのデータを見ると、1炭素単位の代謝が砒素のメチル化に関係していると理解できる。これは高ホモシステイン血症の有病率が非常に高いバングラデッシュでは特に有用で る可能性を持っている。
曝露の評価 | 都会の釣人のPBDE
ポリ臭化ビフェニルエーテル(PBDE)は難燃剤として世界中で使用されている。魚類の摂取がヒトのPBDE曝露源で るか否かを断定するために、ら(p. 1689)は、ハドソン川下流域とニューワーク湾(ニューヨークとニュージャージー)で釣りをする人々の横断疫学調査を行った。アンケートでは地元で捕れた魚の消費頻度を査定し、PBDEを調査する目的で血液サンプルを分析した。地元の魚を消費している釣り人たちは、地元の魚を消費しない釣り人たちと比較してPBDE濃度が低かったが、その差は非統計学的に有意なもので った。この結果から、地元で捕れた魚の消費は今回の調査対象人口グループの人体曝露の主要経路ではないと判断できる。
心血管疾病 | 微粒子と心拍変動
微粒子(PM)と心拍変動(HRV)の間の関連が、微粒子の直径が0.3 µm〜1.0 µmの場合(PM0.3-1.0)、1.0 µm〜2.5 µmの場合(PM1.0-2.5)、2.5 µm〜10 µmの場合(PM2.5-10)では違いが るか否かは不明で る。Chuangら(p. 1693)は、冠動脈心臓疾患患者と高血圧前段階と高血圧患者を対象として心電図記録とPM曝露を測定した。HRVは、PM1.0-2.5、PM2.5-10とは関連していなかった。高感受性人口グループにおけるHRV低下はPM0.3-1.0と関連していたが、PM1.0-2.5、PM2.5-10とは関連していなかった。
発がん性 | Leukotoxin Diolと乳がん
以前のトウモロコシ穂軸エキスのHPLC分析では、ラットの内分泌をかく乱し、in vitroとin vivoで乳がんと前立腺がんの細胞増殖を促進する2つの要因(ピークIとピークII)が発見された。ピークIでの活性物質はtetrahydrofurandiols(THF-diols)の異性体混合体で ると判明した。Markaverichら(p. 1698)は、HPLCピークIIの要素で るleukotoxin diol(LTX-diol)の純化と特定について記述している。LTX-diol(p < 0.001)はMCF-7細胞増殖を促進し、微量の経口投与でも雌ラットの発情期循環性に影響を与えたが、エストロゲン受容体との[3H]エストラジオール結合や核タイプIIの位置に関しての競争は起こさなかった。
環境毒物学 | 薬物の水域への流入経路
多様な薬品が淡水と海水の水域で発見されている。これらの薬物には少量でも水中生物の生命に危害を加える可能性を持つものも る。現在、多くの研究が下水処理プロセスで分泌された薬品の除去に焦点を当てているが、未使用薬品の家庭からの廃棄を重要な経路として調査するべきで る。BoundとVoulvoulis (p. 1705)は、調査を実行して400世帯の人々の面談アンケートを行った。その結果作成された概念モデルでは、家庭ゴミとして、またはシンクやトイレからの未使用薬品の処理が水域汚染の主要経路で る可能性を示すもので った。
曝露の評価 | ヒトの血中有機塩素濃度の空間的分析
Gaffneyら(p. 1712)は、地理情報システムの住所を使用して、有機塩素源が ることが疑われる地域の住民から年1974に採取した血液サンプル中の有機塩素濃度の地理的分布を調査した。調査では、血中ジエルドリン濃度と有機塩素源で ることが疑われる地点からの距離に有意な反比例関係が見られた。年齢、性別、教育レベル、禁煙の状態、飲料水源の調整後、住居の同地点からの距離が1マイル遠くなるたびに被験者の血中ジエルドリン濃度は1.6 ng/g減少した。血中DDE濃度には、住居の同地点からの距離に依存した変化はなかった。
トキシコゲノミクス | ラットの肺の急性オゾン誘発型遺伝子発現
酸化ガスの一種で るオゾンは、肺に直接の障害を引き起こすことが る。急性O3反応の初期分子イベントは、曝露または反応のバイオマーカーの開発に役立つで ろう。Nadadurら(p. 1717)は、2時間にわたり毒性濃度のO3にラットを曝露させ、特徴付けた588の遺伝子を含むラットのcDNA発現アレイを使用して、肺組織の分子変化を査定した。具体的な遺伝子作用は不明なままで るが、このデータは急性O3曝露後の炎症に関連している遺伝子とは別の遺伝子発現が用量依存的かつ直接・即時に発生していることを示している。
心血管疾病 | 致死CHDと環境微粒子の関連
Chenら(p. 1723)は、22年間にわたりモニターしてきた白人成人が冠動脈硬化性心疾患(CHD)の死亡リスクに対する長期的環境微粒子の効果を調査した。環境中空気汚染物質の月濃度を算出[PM < 10 µm(PM10)、オゾン、二酸化硫黄、二酸化窒素、PM < 2.5 µm(PM2.5)]し、郵便番号に内挿した。女性の場合、致死CHDの相対リスク(RR)は、汚染物質が1つのモデルではPM2.5が10-µg/m3増すごとに1.42で、汚染物質が2つのモデル(PM2.5とO3)では2.00で った。 女性全体ではPM10-2.5とPM10が10-µg/m3増したときのRRはそれぞれ1.62と1.45で、閉経後の女性では1.85 と1.52で った。致死CHDは女性ではすべてのPM分類と正の関係に ったが、男性ではこの関係は見られなかった。
Science Selections, p. A836も参照
神経組織退行変性の疾病 | 末梢神経繊維と慢性鉛曝露
Bleeckerら(p. 1730)は、製錬作業者を対象として、鉛曝露と、末梢神経機能のエルゴノミックス・ストレッサーと鉛曝露との作用について調査した。著者らは、血中鉛と骨中鉛の濃度を測定し、労働を続けた年数の統合血中鉛(IBL)と労働を続けた年数の加重血中鉛を経年記録から算出し、20〜60 µg/dL(IBL20〜IBL60)の血中鉛濃度増加レベルを超える累積曝露の基準を作成した。Current perception threshold (CPT) を、大髄を有する(CPT2000)知覚神経、小髄を有する(CPT250)知覚神経、無髄(CPT5)知覚神経の繊維の査定に使用した。基準血中鉛濃度がIBL20からIBL60に上がると、CPT2000変動の割合も上がった。慢性血中鉛暴露は、大髄と小髄の知覚神経繊維の障害と関連が り、その効果は高用量でエルゴノミックス・ストレッサーによって高められる。
Science Selections, p. A838も参照
曝露の査定 | 土壌の砒素曝露
Tsujiら(p. 1735)は、農薬製造工場から土壌に排出される砒素に関する地域社会の懸念に応えるため、7歳以下の子供たちを8歳以上の被験者と比較するバイオモニタリング調査を行った。尿サンプルを分析し、トータル砒素と、無機砒素摂取と関係している種類の砒素を調べた。種類分け尿中砒素の濃度は、2つの被験者グループで類似の結果が見られ、非曝露の人口グループとも一致していた。種類分け尿中と土壌砒素またはハウスダストとの相関関係も、子供たちの中では有意ではなかった。また、土壌曝露を示すアンケートへの回答も、尿中砒素の高濃度とは関連していなかった。
呼吸器の疾病 | 分画呼気一酸化窒素と黒色炭素
Jansenら(p. 1741)は、喘息や慢性閉塞性肺疾患を持つ高齢者を被験者として、分画呼気一酸化窒素(FENO)、肺活量、血圧、血中酸素飽和度(SaO2)、脈拍数を測定した。PM10とPM2.5(それぞれ<10 µmと<2.5 µmの微粒子)を、屋外、被験者の自宅内外、個人用PM10フィルターから採取した。喘息を持つ被験者では、屋外PM10とPM2.5の10 µg/m3増加(24時間平均)は、それぞれFENOの5.9と4.2 ppbの増加と関連していた。屋外、屋内、個人の黒色炭素(BC)の増加もまた、FENOの増加と関連していた。PMやBCと肺活量、血圧、脈拍数、SaO2の変化の間には何の関連も見られなかった。
トキシコゲノミクス | バナジウムと亜鉛の遺伝子プロフィール
遺伝子発現プロフィールは、ヒトの気管支上皮細胞でバナジウムを亜鉛と区別する可能性が る。階層クラスター分析を使用して、Liら(p. 1747)は、12の遺伝子がVをZnから区別し、2つのクラスターから構成されていることを証明した。クラスター1の遺伝子(ZBTB1、PML、ZNF44、SIX1、BCL6、ZNF450)はVによって下降し、遺伝子転写に関係していたが、クラスター2の遺伝子(IL8、IL1A、PTGS2、DTR、TNFAIP3、CXCL3)は上昇し、炎症反応と細胞増殖と関連していた。金属結合性蛋白質1遺伝子(MT1F、MT1G、MT1K)は、Znのみによって上昇した。これらの新しく特定された遺伝子と経路は、環境中のVとZnの曝露によって引き起こされる健康への影響の原因を理解するのに役立つ可能性が る。
曝露の評価 | 2004年ケニアのメイズ市場におけるアフラトキシン汚染
2004年度4月、ケニアの農村部で最大級のアフラトキシン中毒が発生した。アフラトキシンで汚染された自家製メイズが発症源で ったが、汚染程度と市場用メイズの状態は不明で る。Lewisら(p. 1763)は、汚染の程度と市場用メイズのアフラトキシンとアフラトキシン中毒の関係について調査した。地元農家が生産したアフラトキシン汚染メイズが流通網に入り込んだ結果、メイズ市場で広範囲なアフラトキシン汚染が発生した。自家製メイズの蓄えが尽きてしまった農民が汚染メイズを市場から購入することが、アフラトキシン曝露が継続している原因かも知れない。アフラトキシン曝露を断ち切るには、市場の食料流通網の役割を含めた考慮が必要で る。
環境毒物学 | 石油から生成されるPAHのAhR依存毒性
エクソン・バルディーズ号原油流出事件後の調査で、自然の中で風化した原油中の低濃度の多環式芳香族炭化水素(PAH)に曝露した魚の受精卵に、浮腫と頭蓋および顔面の症候群と体軸異常が発生することが証明された。ゼブラダニオの受精卵を使用し、Incardonaら(p. 1755)は、風化原油症候群は、明確に特徴付けられているAhR依存型のダイオキシン毒性効果とは違いが ることを示している。アンチセンスのmorpholino oligonucleotidesを使用した経路要素の封鎖では、風化原油曝露が引き起こす主な発育異常が、心血管機能と形態形成のAhR依存型異常を通じて、低分子重要三環PAHによって調整されることが証明された。
曝露の査定 | 微粒子の健康への影響源の特定
PM2.5(空気力学的直径が2.5 µm未満の環境微粒子)曝露とヒトの死亡率の関係はしっかりと確立されているが、主要原因で る微粒子タイプと微粒子源は不明のままで る。Thurstonら(p. 1768)は、1日PM2.5大量死源の査定で、多様な源分類方式の一貫性を評価した。分析によると、微粒子源のタイプは相対リスクの有意な予測変数で り、分類グループ間の差異は有意な予測変数ではないことが判明した。この結果から、現行のPM2.5源分類方式は、健康に影響するPM2.5源要素の考察で信頼できる判断を生み出すという理論をサポートする証拠が得られた。
環境医療
呼吸器の疾病 | 菌類発揮性混合体の急性効果
メチルフラン(3-MF)は、気道に影響を与える一般的な菌類揮発性生成物で る。Wålinderら(p. 1775)は、3-MF(1 mg/m3)の室内曝露を通じた急性効果を査定した。ボランティア被験者は、症状の報告をし、目の筋電図記録検査、目の涙膜の破裂時間測定、目の染色測定、鼻の洗浄測定、音響鼻腔計測、転移テスト、機能肺活量測定を受けた。曝露期間中、主観評価は有意に上昇しなかった。瞬き頻度と洗浄バイオマーカーで るミエロペルオキシダーゼとリソチームは有意に増加し、3-MF曝露被験者の努力性肺活量は空気コントロール被験者と比較すると有意に減少していた。目、鼻、気道での急性効果が検知されたが、これは3-MFの影響の可能性も る。
ヒトの毒物学 | ケニアの急性アフラトキシン中毒
ケニア東部で2004年に発生したアフラトキシン中毒では多くの人々が死亡した。Azziz-Baumgartnerら(p. 1779)は、メイズ汚染のリスクファクターのケースコントロール研究を行い、アフラトキシンと関連しているバイオマーカーを定量化した。メイズはトータル・アフラトキシンを調べるために分析され、漿液はアフラトキシンB1-lysineアルブミン・アダクトとB型肝炎表面抗原を調べるために分析された。回帰分析と生存分析を使用して、アフラトキシン、メイズ消費、B型肝炎表面抗原、ケース状況の関係を追及した。ケース被験者の生産したメイズからは、コントロール被験者の生産したメイズより高濃度のアフラトキシンが検出された。ケース被験者はコントロール被験者と比較して、湿っているメイズを自宅に保管し、穀物倉に入れる割合が少なかった。漿液アダクト濃度は、黄疸罹患から死亡までの時間と関連していた。
Science Selections, p. A837も参照
ヒトの毒物学 | ジメチルアミン-ボラン中毒
ジメチルアミン-ボラン(DMAB)は半導体の非電気的めっき技法に使用されている。Tsanら(p. 1784)は、DMABの労働関連曝露の4事例に関して報告している。直ちに非曝露処置を受け、水を飲んだ3名の患者には、後にめまい、吐き気、下痢の症状が見られた。4番目の患者は、直ちに非曝露処置を受けず、めまい、吐き気、肢部のしびれ、不明瞭な言葉、怒りやすい気分、運動失調の症状が り、脚の下部の虚弱さと垂れ足が両方の下肢に見られた。神経伝達の研究を行ったところ、運動をつかさどる軸索の変質を伴う多発神経障害だと判明した。DMABは、皮質と小脳の障害と、遅延末梢神経障害を起こす。大量の水を使った早期の非曝露処置が、現在のところは最良の治療で る。
子供の健康
呼吸器の疾病 | DDEと子供の喘息
喘息罹病率は、ジクロロジフェニルジクロロエチレン(DDE)のレベルに伴って増加するが、幼少期曝露の影響は不明で る。Sunyerら(p. 1787)は、胎児期のDDEおよびその他の有機塩素系化合物曝露と乳児期のアトピーおよび喘息の関連を査定した。胎児期の有機塩素系化合物曝露は臍帯の血清を測定し、喘息の定義は4歳時の呼吸困難、持続する呼吸困難、医師による喘息の診断を基にしている。4歳時の呼吸困難はDDE濃度とともに増加した。この関連は、特定のIgE感作によって調整せず、非アトピー被験者と、持続する呼吸困難と喘息の医師診断を持つ被験者との間で同じ強度で見られた。
Science Selections, p. A836も参照
喘息 | 短期PM曝露とFeNO
Marら(p. 1791)は、ワシントン州シアトルの集中パネル研究に参加した喘息患者の子供たちを被験者として、PM2.5(空気力学的直径が2.5 µm未満の微粒子)の短期(毎時間)曝露と呼気中の一酸化窒素(FeNO)の分画濃度の関連を評価した。FeNOは、曝露後10〜12時間まで時間平均PM2.5と関連していた。結果から、PM2.5と喘息を持つ子供たちの呼吸器への影響の間に る遅延構造に関する新情報が得られた。
曝露の査定 | ラテン系女性とその子供たちの住居品質
低品質の住居と室内ペットの存在に関連する健康への影響は、子供たちに及ぶように思われる。Bradmanら(p. 1795)は、サリナスバレー(カリフォルニア)に住む妊婦とその子供たちの家庭644世帯で環境アセスメントを行った。これらの家庭の51%で、ゴキブリやネズミの発生を防ぐために殺虫剤が保管または使用されていた。データを見ると、このコミュニティでは粗悪な住居環境は一般的で り、害虫の発生や家庭内での殺虫剤使用の頻度を高めていることが分る。この人口グループの住居を改善し、子供の健康を守るための介入が必要で る。
曝露の評価 | 妊婦の農薬曝露
妊婦の農薬曝露に関する詳細は不明で る。Bradmanら(p. 1802)は、農村部に住む低所得層の妊婦を被験者として、有機リン酸塩(OP)系農薬の尿中リン酸ジアルキル(DAP)代謝産物を測定した。これらの妊婦のうち、28%が妊娠期間中に農業従事者として労働し、81%が少なくとも家族の1人が農業従事者で った。DAP代謝産物レベルは妊娠期より産後の方が高く、妊娠期と産後の両方で妊娠適齢期の女性の方が米国の一般人口よりも高かった。出産直後にDAP代謝産物レベルが高いと、妊娠期の評価曝露量と授乳期の曝露に影響する可能性が る。
胎児の発育 | 妊娠後期のDBP曝露
成長と関係している出産の結果は、トリハロメタン(THM)とhaloacetic acid(HAA)などの殺菌副産物(DBP)の高濃度曝露と関連している。Hinckleyら(p. 1808)は、正期低体重出産、子宮内成長遅延、超早産、早産のリスクに対する妊娠3期と妊娠後期の各週・各月のTHMとHAAの影響を調査するために、遡及的コホート研究を行った。結果から、胎児の発育に関連した重要な曝露域が想定され、33〜40週にはdibromoacetic acidの影響、37〜40週にdichloroacetic acidの影響と関わっている。
小論文
環境正義 | コミュニティにおけるパートナーシップの育成
近年、コミュニティ・ベースの参加型リサーチ(CBPR)の長所と欠点に関する記事が多く出版されている。小論文(p. 1814)では、3つのプロジェクトの概要を説明し、コミュニティと大学とのパートナーシップの育成における共通点と相違点に焦点を当てている。この調査にはCBPR戦略は使用しなかったが、コミュニティ住人の参加を得た。結果から、環境健康問題是正を目的として健康の差問題に対処するために、より均等な力関係に焦点を当てたコミュニティ・ベースの住民参加型調査を行うための規定に頼らない枠組みの重要性が判明した。